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プロ野球界に見る、労働組合の意義

2004年10月2日
スタッフ記

 プロ野球界には「プロ野球選手会」という組織があり、このところの新聞紙面を大いに賑わせた。「組合」や「ストライキ」という言葉がこれだけ日常に入って来るのも珍しい。それも一般の人たちの目に触れる形で。労働者の権利がこれだけ繁華街の酒の肴になったことも珍しいだろう。プロ野球選手という職業が自分たちとクロスオーバーして考えられた瞬間でもある。

 プロ野球選手会という組織は、社団法人及び労働組合という二つの形態をとっている。まずは社団法人として設立され、それが労働組合としての機能を持つにいたったというのがその経緯である。現在は労働者としての選手を守る組合でもあるのだ。

 近鉄、オリックスの合併問題に端を発した今回の騒動。選手会の側から見ると、「職場環境の著しい変化」と考えられる。更に、合併に伴う雇用確保に対する不安の面も持ち、これは一方的な雇用放棄につながり兼ねない。選手会が組合として存在する上で断固戦わなければならない事態である。

 球団の合併には、選手だけでなく球団職員の雇用の問題も派生する。一方的に職場を失うことになりかねない彼らへの思いも、選手会側の思惑の中にあったようだ。つまり、プロ野球を支えている人々をもっとしっかり扱うべきだという視点でも選手会は闘っていたのだ。

 そして選手会が一番危惧していたのがプロ野球ファンの動向だ。長年愛着を感じていたチームがいきなり失われ、いままでの球団身売りなどとは違い、合併することでなくなってしまうという絶望感。更にはリーグを5球団でまわすという不自然な状態でのリーグ運営に対する不信感。また、ファンの意見を積極的に聞く姿勢を見せないオーナーに対して選手会は牙をむいた。

 結果として、ストライキを決行した上でも近鉄・オリックスの合併阻止はならなかった。しかし、多くのプロ野球ファンの願いであった1リーグ6球団(2リーグ12球団)の体制を維持することをオーナー側に約させ、来期からの展望を開かせた。労働者の声を聞き入れさせたとも言える妥結結果であった。

 もし、選手会という組織が存在していなかったら、プロ野球界はどの様になっていたのだろうか。まず考えられるのは、選手一人一人の声はオーナーに届くことはなかったのではないだろうか。ストライキという強行手段に訴えられないだけではなく、選手の意見をファンが聞くことも出来なかったかもしれない。それは何故か。会社からお金をもらっている人間が、一人で会社に対抗することは大変難しいことだから。一般の会社組織となんら変わるところはないわけだ。

 何かを変革しようと思ったら、ムーブメントを起こさなければならない。周りを巻き込んでこそ、会社という組織に対抗できることを思い知った事件であった。労働組合は無力ではない。更に言えば、もっともっと自分の権利を主張できる運動を展開していける。そんな希望を感じたのは私だけではないのではないか。
 



 
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